転職したので「THE MODEL」を読んでみた

はじめに

4月から現在の会社で働き始めてもうすぐ3ヶ月になります。

前職はSIerのSE職、現在は自社サービスを提供しているSaaS企業のエンジニアと、IT業界という大きな大きな括りの中では同じですが、業務内容等が転職によって大きく変化しました。転職した経緯については、また何かの機会でお話できればと思いますが、本記事では特には触れません。

読もうと思ったきっかけ

転職によって社内の体制が大きく変わったことです。前職も現職もビジネスサイドの人間ではないので、営業の方がどのようなことをしているかについて詳しく理解しているわけではないですが、現職の体制についてはあまりにも馴染みがなく、聞き慣れない用語をよく耳にしていました。例えば、

などなど・・・。世間一般の営業しかイメージになかったので、入社当初は何をやっているのか分かりませんでした。

3ヶ月が経ち、何をやっているのかはなんとなく分かってきましたが、そもそもこの体制は一般的なものなのか、自社独自のものなのかが気になってきました。そんな時にAmazonで見つけたのが今回紹介する書籍である「THE MODEL」です。

ラクル、セールスフォース・ドットコムを経て、現在はマルケトの代表を務める福田康隆さんの書籍です。

読んだ感想をざっくりと記述していきます。

分業・共業

私が元々持っていた営業に対するイメージは下記の一連のプロセスを全て同一の人が担当するといったものでしたが、

  • リード(見込み客)獲得
  • 商談設定
  • 受注
  • リテンション(既存顧客の維持)

これらのプロセスをまるで工場の生産ラインのように分業することで、パフォーマンス評価を可能にしているとのことでした。世間一般の営業について、それぞれの過程で求められる能力や視点は異なるが、それら全てを求められるのが営業なのだろうなと思っていた私としては大変驚きました。

一方で、各プロセス毎の目標や個人の目標を各メンバーが優先しすぎてしまうと、

  • マーケティングが展示会で名刺ばかりを集めるため商談に繋げにくい
  • インサイドセールスが商談化しやすいフレッシュな新規リードばかり扱い、過去のリードを放置
  • 営業が見込みの低い客への訪問をするため、重要案件の対応の質が落ちる

といった、会社全体としての負のサイクルに陥ってしまうということにも触れられていました。あくまで、会社としての売上目標を達成するための各部門の目標であるという認識を持たせること、また、評価指標として適切なものを設定すること、そして一方通行になりがちなプロセスの流れを双方向に持たせ、共業させる状況を作ることが重要なのだろうなと思いました。それらが出来ていない状況でこの体制を導入したとしても、上手く回らないように思いました。

あればいいかもしれないけれど、Mustじゃないものを売るのが難しい

この文章と共に記述されていた『あれば便利だが、なくても業務が回るとなると、その必要性を認識してもらうところがスタート。最大の競合はライバル企業ではなく、「何もしない」という選択肢となる』と併せて、とても共感しました。これまで人力でなんとかなっていたものを置き換えることは個人であれば対応しやすいですが、会社として何かを変えるということは大きな決断であるため、営業としてはその必要性やメリットを訴求し、共感を得られるようにしないといけないのだろうなと思いました。サービスにもよりますが、今までにない新たな考えを伝えていかないといけないものであれば、ここから更に難易度が上がるのだろうなと思いました。

書籍全体の感想

書籍の対象読者としては、組織づくりの章もあることから、経営者・マネージャー等の組織づくりに関わっていくマネジメント層向けな印象を受けました。ただ、知っておいて良かったなといった内容も多く、他部門の人の頭の中を少し覗いてる感覚になりました。

また、著者が営業の分業体制のことを「THE MODEL」という名称をつけていたとのことでしたが、事業や組織によって事情も違うため、この書籍の内容を鵜呑みにするのではなく、会社ごとの「THE MODEL」を創りあげていき、その過程を経験することが重要なのだろうと思いました。

分業後の各部門の評価指標についても、その指標が本当に会社としての売上目標達成に繋がるものかという視点を持った上で設定しないと、個人や部門の目標達成が会社の売上達成に繋がらないといった事態になりうるため、仮説と検証を繰り返して適切な指標を作り上げていかないといけないのだろうなと思いました。

といった形で、営業活動の各プロセスを定量的に評価し、改善できる体制を作り上げられるのはすごいと思えた一冊でした。